曹洞宗月宗寺住職  袴田俊英和尚

大震災が起きました。すさまじい被害です。この震災でお亡くなりになりました方々に心からご冥福を祈り、被災された方々にお見舞い申し上げます。

この震災は地震とそれにともなう津波と、原発の被害とを分けて考えなければならないと思います。哲学者、内田樹氏によれば「天災では人間は変わらない。原発事故で人間は変わる」(サンデー毎日 4月24日号)と断言しています。原発はこれまで私たちが採用してきたシステムの破綻だというのです(全てはここにかけませんので、詳しくはお買い求めの上お読みください)。これを受けて人間は変わらなければいけない、という思いなのでしょう。
私は思わずうなずいていました。これまで私は様々なところ、様々な場面で「欲望のコントロール」について語ってきました。野放図な欲望を必要としている資本主義市場経済の行き着く先は、生きる意味を失う社会である、ということを。普段、自死問題に関る立場で、この社会を動かしているシステムの危うさを感じていたからです。
それが思わぬ形で、システムの破綻した姿が、私たちの前にさらけ出されました。
原発を受け入れた市町村も「お金」のため。建設を認めた県も国も「お金」のため。もちろん建設した東電は間違いなく「お金」のため。しかしその電気を必要としたのは、「お金」を出せばいくらでも使えると考えていた私たち一人ひとりです。
市場経済システムは私たちの欲望を最大限にしておくことを求めます。欲望をコントロールする大人の「たしなみ」が一番邪魔です。だから、「自分が快適であること」が一番の価値を持っているのだと、あらゆる方法でプロパガンダしてきました。
私たちはそのように洗脳され、子供のままの思考で止まっています。その中で不快な存在となったものを次々と排除し、格差社会を生み、無縁社会をつくりだしてきました。自死者は年間3万2千人、無縁死も3万2千人。福島から関東に転校した子供が、いじめられたりします。
もう変わらなければいけないと思います。「自分が快適であること」を最優先にして奪い合っていては、日本は立ち直れません。少しずつ分け合う社会が、最も早くこの国を再生させることになると思います。大人の社会、成熟した社会ということです。
この震災の復興で「お金」を儲けようとしている人がいます。再び「お金」の世界に戻ることが復興であると考える人たちがいます。震災で何もかも失ってしまった人は、決してこのことを許さないでしょう。そして、後世の人々はそれらの人々を歴史の汚点として記憶するでしょう。
歴史の鏡に映されたときに、決して恥ずかしくないという姿での復興を願うばかりです。
そのためにも、今こそ私が変わらなければいけない、一人一人が変わらなければいけないと強く思っています。

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プロフィール
昭和33年 秋田県能代市生まれ
昭和56年 駒沢大学仏教学部仏教学科卒業後、曹洞宗大本山永平寺安居(あんご=修行)を経て、 曹洞宗月宗寺住職となる
<役職>
平成4年~12年 ビハーラ代表に就任。藤里町教育委員を経て 藤里町教育委員長、
心といのちを考える会」(自殺予防の会)会長に就任。
平成21年~現在 社会福祉法人「秋田虹の会」理事長、「秋田ふきのとう県民運動実行委員会」会長、日本尊厳死協会東北理事。NPO法人自殺予防ネットワーク「風」副理事長、曹洞宗秋田県宗務所教化主事を務められご活躍されています。b018lin

「命のリレーコラム」繋いで頂いた方々
都鳥伸也氏⇒袴田俊英和尚⇒藤澤克己氏川浪 剛氏

浦嶋偉晃氏久保田千代美氏岩崎順子氏⇒谷 正義氏江口日登美氏

岩本ひろ子氏林 静哉氏柳岡克子氏石黒大圓氏⇒島田妙子

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