たくさんの涙を流したからこそ、見えてきたこと        江口日登美氏  

1439623828026私はどこにでも居る普通の主婦で、毎日を当たり前に過ごしていました。
そんな中、突然、信じられない悲しい事が起きてしまいました。
24歳の息子が、亡くなってしまったのです。
テレビのニュースで見るようなおかしな亡くなり方で、こんな事が現実にあっていいのかと…。
それは、あまりにも理不尽な亡くなりかたでした。

息子は大学院生で、教師を目指していましたが、会社を立ち上げる起業の夢もあったのです。
主人も私も、教師になった方が良いと思いましたが、息子の人生、賛成はしないけれど反対しないでおこうと決め見ていましたが、色々あったようでした。

卒業間近の二月末、教授に修士論文の仕上げの報告をし、「卒業したらどうするんや?」と聞かれ、「起業もしたいけど、自分はやっぱり教師かな、非常勤講師の日を増やして貰って、教採の二次を受け直そうかと思ってる」と伝えていたそうです。
その後、大学院内に居た息子は、ある人の所に急に行かなければならなくなったからと、
その日に飲みに行く約束をしてた友人にキャンセルを伝え、大学院を出て行ったそうです。
そして、それが最後になりました。
翌日には、卒業の追いコンがあり、行くと楽しみにしてたと聞きました。だから、自ら居なくなるとは考えられないと言ってくれました。

息子が亡くなった事が現実に起こった事だと信じれないのですが、辛く、悲しく、寂しい、無気力、片腕をもぎ取られてしまった様な感じで、何度らくになりたいと思ったか、今もその時の事を思い出すと凍えて身震いします。

それでも、息子の亡くなり方が納得いかず、必死になって証拠を見つけなければと焦りました。
警察の刑事さんに訴えましたが、すぐには事実が解明出来ず、悔しい思いで心が壊れそうで、怒り、憎しみ、捕まらない焦り、日々葛藤でした。
どれだけ泣いたか、辛いと泣いて、悲しいと泣いて、悔しいと泣いて、泣いてばかりでした。
理不尽な思いが一杯で心が張り裂けそうで、心労も続き、体調が悪くなりました。
人を憎む事で、自分の体を悪くする、悲しいけれどそれが現実でした。
けれど、二年半過ぎても警察の捜査は続いています。強行犯係の刑事さんにお任せする事にしました。

私は少しずつ、その事への執着をなくしたい、関わりたくないという気持ちになってきました。
でも、赦せない気持ちを持て余してました。
そんな時、岩崎順子さんがいのちの講演でこんな事を言ってくれました。
「赦せなくて当たり前、人間なんだから、それくらい辛かったんだから、赦せない自分を認めてあげて、それでもいいんやでって自分を赦してあげてって」
涙が止まりませんでした。
気持ちがすうっとらくになりました。そんな自分を嫌にならずに済んだからです。
岩崎順子さんありがとう。

それでも、次から次と納得が出来るわけもないようなひどい事実、悔しい、赦せない。
こんな事ばかり思ってた私に、亡くなった達也がメッセージくれました。
私は目で見えるものしか信じなかったので、信じられませんでした。
それでも、達也は何人かの人にメッセージを発してくれました。すごい経験をしました。
実際、その人に達也が入って来てくれて、達也と話すことも出来ました。
この経験も信じられない事でしたが、色々わかってきました。

「おかん、ごめんよ、一生懸命育ててくれたのに、こんな事になって、ごめん
でも、これからは、おかんの人生楽しんで欲しい。おかんは俺らの事で一杯一杯だったからな」

「俺、おかんが仏さんの前で泣いてばかり…それを見てるのはつらいよ」

「おかんが憎い奴の話をする時に、汚い言葉を言うてるのを聞くと、俺が言わせてるから辛いよ、
おかんは、そんな言葉言わなっかたのに」

「おかん、俺は絶対生まれ変わって来てやるからな!」

「おかん、おかんが笑うと皆が喜ぶよ!」

「おかん、あいつらの事はもういいよ、あいつらは運命的にも経済的にも落ちて行くのが、俺、解ったから。あいつらの事、思ってたら、おかん身体壊すから、もう、いい加減にせーよ!」

「おかん、俺はもっと認めて欲しかった。でも、もういいんよ。その分、おとんを認めてやれよ。
そしたら、おかんがらくになるから」

達也、たくさんありがとう。
達也、いつもいつもありがとう。
達也、亡くなってもおかんを見てくれてるんだね。
達也のメッセージのおかげで踏ん張れたんだよ。助けてくれてありがとう。
だから、今、笑えるんだよ。
寂しくて、達也に会いたくて、涙が止まらない日もあるけれど、我慢せず一杯泣いて、笑うから…。

達也のメッセージを伝えてくれたメッセンジャーさんは、私の命の恩人です。
生きる魂を捨てかけた私を助けてくれました。本当にありがとう。
そのメッセンジャーさんに会わせてくれたのも、達也なんだよね、わかるよ、とても不思議だもん。

もう一つ、私に生きる希望をくれた事がありました。
やはり息子の存在ですが、生前お世話になった人、回りの人に可愛がって頂いた事、良くも悪くも人に影響を与えてたこと。そんな方が息子に会いに来てくれて、達也の存在を感謝だと話してくれた事です。こちらこそ、ありがとう。

ショックな事実ですが、海に沈んで溺死です。
それも、寒い2月末、部屋着のままで、寒がりの達也なのに
達也、海が大好きでダイビングが得意だったのに、海で亡くなるなんて最悪だね。
でも、沖に流れて行かずに戻って来てくれて、流石ダイバーだね(笑)
そんな亡くなり方、誰が聞いてもおかしいって言ってくれたよ。自殺では片付けられないはずだね。

発見まで少し時間がかかったので、遺体の損傷がありました。
なので、遺体の確認をした主人は、達也の最期を私に見せてくれませんでした。
「執念で帰って来たんだね、偉かったね」と抱きしめて、冷たくなった身体をさすってやりたかったのに、頑なに止めた主人でした。私は一生悔いが残ると非難しました。

息子の変わり果てた姿を見て受けた大きなショックを彼止まりにしてくれたおかげで、達也の笑顔が一ミリの曇りもなく、私の心の中に居てくれるのです。今は主人の大きな優しさだとわかりました。
お父さん、ありがとう。

達也へ
生まれて来てくれてありがとう。二十四年間、達也の母でいたことには変わりないよね。
達也のおかんでいれて嬉しかったよ。もっと幸せを噛みしめておけば良かった事だけが心残り。

達也はかけ算の九九、早く覚えたね。少年野球、学校の違う友達も出来たね。
高校野球、熱血監督の下で、甲子園目指したのかな。
教師になると、偏差値が全然足りない教育大目指し、合格したのにはびっくりだったね。
大学時代はダイビングに始め、インストラクターの資格もとって、色んな人にダイビング教えたそうね。 20150830_125954
クロちゃんって呼ばれるほど、真っ黒になって、串本、石垣島、ハワイと行って、楽しかったやろうね。IMG_170670685518217-4

大学院では、新たな仲間と出会い、一年間だったけど非常勤で高校で数学を教える事が出来て良かったね
楽しい人生だったね、まだまだやりたい事あっただろうけど、人の五倍速くらいで生きて来たみたいだね。
達也は凄いよ。いつも笑ってたね。大好きだよ。最高の息子だよ。
でも達也はおかんより先に死んじゃって、最低の親不孝者だから大嫌いだけどね。
三人で仲良く楽しく幸せになるからね。見守っていてね。
妹の事も、しっかり守ってよ。頼んだよ。あの子にも悲しい思いをさせたのだからね。
またすぐに会えるよね。でも絶対忘れないよ。達也みたいな子は忘れようとしても忘れられないけどね。

長々とお聞き苦しい文を読んで下さってありがとうございました。
この機会を与えて頂いた事で、私は憎しみから自分を解放する事が出来そうです。
この二年半、多くの人とのご縁を頂き、また、色々な経験をした事で、大切な事がわかりました。
普通に生きて行ける事が本当に当たり前でなく、大きな幸せなんだと実感しています。
些細な事で腹を立てたり、人の事、気にしたり、出来ない事をくよくよしたり、
そんな事は小さな事なんです。
ただそこに居てくれる、それだけでいいと心から思える様になりました。
ただ生きているって、すごい事なんですと。生きたくても生きれない人もいるのだから…。

先日、娘と初めて二人で北海道に旅行しました。嬉しかったなあ。
こんな悲しみを、家族で乗り越えれたのは娘のおかげです。
こうして一緒に出掛けてくれました。人生楽しめたよ。
いつもありがとう。

これからも決して悲しみは消える事はありません。
それでも、今ある幸せを喜び、前を向いて楽しく笑って生きて行こうと思えるようになれた事を嬉しく思います。

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<プロフィール>
江口日登美(えぐちひとみ)
1959年 和歌山県生まれ
1989年 結婚 一男一女の母

愛犬2匹がいて、大好きなガーデニングを楽しみ、海を眺めに出かけたり、高野山に行くのが好き。

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「命のリレーコラム」繋いで頂いた方々

都鳥伸也氏袴田俊英和尚藤澤克己氏川浪 剛氏

浦嶋偉晃氏久保田千代美氏岩崎順子氏谷 正義氏⇒江口日登美氏

岩本ひろ子氏林 静哉氏柳岡克子氏石黒大圓氏⇒島田妙子

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たくさんの涙を流したからこそ、見えてきたこと        江口日登美氏   への1件のフィードバック

  1. Takashi Deguchi より:

    読ませて頂きました。岩崎・岩本さんの友人です。28歳の一人息子を持ち、こよなく愛しています。2年前の6月24日に急死で母を亡くした62歳の男です。涙が止まりませんでした。ただ、文末に来て、ほっとさせて頂きました。体験したことの嬉しいことは、案外早く消えるものですが、逆はそうは行かないと思います。それが現実なんです。その現実の中で、自分の命を大切に、前を向いて息子さんのためにも、楽しい事・嬉しいことを見付けて、しっかり自分のものにして下さい。生まれ変わった息子さんに、どこかでお会いできることを楽しみにしています。

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